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2012年7月18日 (水)

自閉症と睡眠障害-眠りを助ける方法

(* この記事は、バンダービルト大学の睡眠障害センターで障害児の睡眠障害について研究されているBeth Malow準教授の研究を元に書きますが、様々な過去の研究も含まれてます)


自閉症を持つお子さんの多くが、睡眠障害を抱えています。

特に乳幼児の頃の睡眠障害に悩まされる親御さんは多くいます。

自閉症を持つお子さんや赤ん坊に見られる睡眠障害の主な例は

 
- 寝つきが悪い(夜遅くまで寝ない)
- 睡眠時間が不規則
- 眠りの質が低い(しっかりと寝ていない、よく目が覚める)
- 朝早く起きる(朝早く起きて歩き回る)

 
などです。


睡眠不足は親御さんを精神的に追い詰めていきますし(親御さんの脳が休まらずストレスになる→昼間の活動に影響を及ぼす[イライラ、疲れ、マイナス思考など]→ただでさ大変な子育てがますます辛くなる→自己嫌悪に陥る、などなど…)、睡眠時間の確保は、家族の生活の質を全体に下げてしまいます。
子どもために、自分を犠牲にしてまで頑張ってしまいがちになりますが、家族が元気であることは、子どものためにも一番大事な土台となるので、家族も休まなければなりません。


もちろん子どもにとっても睡眠時間の確保は大事で、自閉症のお子さんの睡眠の質が改善されると、情緒の安定、不安の減少、興味の拡大などが見られた、という研究報告もあります。


ところで、
随分前には、乳幼児の睡眠障害が自閉症を引き起こす、というようなことを言う人もいたようですが、これは逆です。
正しくは、自閉症があるから睡眠障害がある、と言うべきです。


では、なぜ自閉症があると睡眠障害を引き起こすのか?


これには一つの答えが出ているわけではなく、いくつかの原因や推論が挙げられています。
これは、自閉症と言っても千差万別で、色々な性格の人が存在するのと同じで、自閉症の人でもそれぞれ違うからです。


睡眠障害のいくつかの理由


自閉症を持つ人の睡眠障害の原因として以下のことが挙げられます。


- 睡眠リズムを助けるメラトニンや興奮を抑えるセロトニンを作るトリプトファンというアミノ酸の過多、または過少が自閉症を持つお子さんに見られること。いくつかの研究では、自閉症のあるお子さんは、昼間にメラトニンが分泌されて眠くなり、夜にはメラトニンが低くなって目が覚める、という報告をしています。


- 外からの刺激に敏感であること。自閉症のお子さんの中には、触覚、視覚、音などを敏感に感じる人が多く、布団の中で身体が落ち着かずもぞもぞとしたり、少しの光や音に反応して目覚めてしまうことがあります。


- 社会的合図が読み取りにくいこと。自閉症のお子さんの中には、社会的合図を読み取るのが苦手な子がいます。例えば、夜になると、親御さんが布団を敷き始めたり、寝巻きに着替えたりするのを見て、「あぁ、もう寝る時間か」と思う、というようなことが難しいのです。


- 不安。自閉症のお子さんが他の子と比べると、不安を強く感じやすいことが報告されていますが、これが眠りを妨げているかもしれない、という推論もあります。


- 閉塞性睡眠時無呼吸症候群や、Periodic limb movement disorder (定期的に手足が勝手に動いてしまう症状)などを持っている場合もあります。


眠りを助けるには


自閉症のお子さんの眠りを助ける方法は、いくつか研究で報告されています。


まず行動療法の側面から:

Malow準教授は薬療法の前に行動療法をすることを勧めています。その理由として、薬の副作用がでる場合があること、副作用が出ても本人が伝えられず、発見まで遅れる可能性があること、それから行動療法に成功した場合、家族に自信が付くことを挙げています。


行動療法のいくつかの例がこちら。


- 毎日同じ時間にベッドに寝かせる。(体内リズムを助ける)


- ベッドタイムルーチン(就寝前の日課・いつも決まった順番ですること)を作る。こうすることで、その日課が始まると、ああこれから寝るんだ、と理解するのを助ける、ということです。これは20~30分の日課でいいようです。例えば、本を読む、優しく背中をマッサージする、子どもの落ち着くソフトな音楽をかける、など。


もし、子どもが視覚優位な場合、視覚的にベッドタイムの日課を提示するのも効果があるかもしれません。

例)

A1

ただ、自閉症の人が誰でも視覚優位というわけではないので、言葉で伝えた方が伝わる場合や、実際に行動して経験から学んでいく場合もありますので、そのお子さんに一番合った方法で伝えてください。


- 就寝時間の1時間前から興奮を与える刺激を避ける。TVやパソコン、ゲームを消す。カフェインの入った飲み物や、甘いものを控えるなど。


- 日中に十分身体を動かす。昼寝を長く取らないようにする。


- 寝室の環境を再度チェックしてみる。例えば、ドアは開けっぱなしにしてた方が逆に良い?とか、小さな弱い光があった方が良い?など。場合によっては、遮光カーテンが良かったり、ドアの金具に油を差してドアの開閉時になるギギーという音をなくす、など小さな変化がキーポイントになる場合もあります。


- ロッキングチェアメゾットを使う。これは、まず子どもに自分一人で横になってもらう。親は部屋を出ずに一緒にいますが、子どもに背を向けてロッキングチェアに座っているだけ。毎晩、ロッキングチェアをドアに近づけていき、最後にはドアの外に出す、というものです。


少し大きくなって、物事の因果関係が分かるようになってくると、夜ベッドに入って眠った次の朝に、モーニングステッカー (ご褒美のシールをあげる→それをシールノートに貼り、いくつ集めると、○○がもらえる)など、動機付けをするのもひとつのやり方として挙げられています。


他に、National Autism Resourcesがサイト内で販売もしているグッズ関係を使うのも一つの方法として挙げられています。


例えば、 

- 重いブランケットを使う。

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Autism Resourcesのサイトでは結構な高額で売られていますが(日本から購入可能かどうか不明)、友人は乾燥豆を入れて手作りしていました。


この写真のように、ブランケットを重ねて重みを持たせるのも手かもしれません。

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- 眠り亀など、光や音の出るグッズを使う。

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これは、亀の甲羅にしかけがあり、天井に水の底から見える光を再現するもので、光の強さも調節可能です。海の波の音もつけることができます(光だけの再生も可能)。これも、Autism Resourcesからですが、アメリカのアマゾンサイトでも販売していました。


最後の手段としてMalow準教授は、薬療法を勧めています。行動療法や他の方法で上手く行かなかった場合に、メラトニンセラピー(薬療法)や、不安が強い場合には鎮静剤療法など、医師と相談の上で使用した場合の効果が報告されています。

**メラトニン療法に関して、AutismSpeaksから発行されたガイドブックを基に、2016年6月に記事を書きましたので、そちらも参考にしてみてください。

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