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2012年8月29日 (水)

父親の年齢と子どもの自閉症のリスクに関する研究

ここ最近、自閉症の原因に関する研究関係のニュースがいくつか入って来ていました。

こうした原因に関する研究について話す時、それがどうしても誰かや何かを責めることになる場合があるので、私は意図的に避けているのですが(大学で学生に教える時には、「事実」として淡々と話をしますが)、ここで少し紹介したいと思います。

まず最初に、はっきりしているのは、自閉症の起こる原因はこれ、と一つのはっきりとした原因があるわけではない、ということです。

そして、人間が人間である限り、誰にでも自閉症を持つ子どもを産む可能性はあります。

最も新しいアメリカの統計によれば、88人に1人の子どもが自閉症を持っているというので、これはかなり高い確率です。


イェール大学のチームがNeuron誌に発表した2011年論文によると、少なくともゲノムの130サイトにおける自然発生的な突然変異(遺伝によるものではなく、その固体において急に起こる変異)が自閉症に関係し得ることを報告しています。
更に研究が進めば、恐らく合計でゲノムの400近いサイトが自然発生的に起こす突然変異が、自閉症の発症に関係すると分かるだろうということです。


自閉症は、男の子の方が女の子より4倍も多くみられますが、その原因の1つとして、自閉症の女の子の方が男の子より突然変異したゲノムのサイトの多いことが挙げられています。つまり、女の子の方が、自閉症を発症するのにより多くのゲノムの変異を要するため、自閉症になる確立が下がるというのです。


先週、Nature誌に発表された研究は、また別の角度から自閉症の原因について報告しています。

それによると、父親の年齢が自閉症や統合失調症のリスク(ランダムな突然変異)の上昇と関係している、というのです。そして、母親の年齢はリスクの上昇に関係が無い、と報告しています。

研究によれば、年齢の高い父親の子どもは、自発的な突然変異の起こるゲノムのサイト数が多くなる傾向がみられました。

20歳の父親に生まれた子どもは、父親に由来する遺伝子に平均25のランダムな突然変異が見られましたが、その数は父親の年齢が上がる毎に増えていき、40歳の父親に生まれた子どもは、65のランダムな突然変異が見られたということです。

一方で、母親由来の遺伝子に起こるランダムな突然変異は、母親の年齢に関わらず常に15でした。

ただ、この研究で報告されている突然変異が自閉症をもたらす確率は、全体の20~30%だということも知っておく必要があります。


若い父親に自閉症を持つ子どもが生まれる場合もあるし、年齢の高い父親に自閉症を持たない子どもが生まれる場合もあります。


とにかく色々な要素が偶然に重なり合って自閉症になる場合があるし、ならない場合もあるということです。


Father

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障がい児・者/特別支援教育」カテゴリの記事

コメント

難しい話題ですね。結婚・出産というのはデリケートでプライベートな問題ですが、
高齢によるリスクに関する客観的事実は、周知する必要があると思います。

ちなみに、ちょうどタイムリーなんですが、母親の血液を調べるだけでダウン症を
含む子どもの障害有無を、99%の精度で調べられる方法が日本に導入される、
ということが、今日ニュースで報道されています。
(確かアメリカでは既に行なわれている方法だったと思いますが・・・)

http://sankei.jp.msn.com/life/news/120829/bdy12082911260002-n1.htm

子どもは健康に生まれ育って欲しいという願いはわかりますが、偏った優生思想
につながらないかと思うと、どうしても怖さを感じてしまいます。

ネリノさま、そのニュースを知りませんでした…。
リンクを貼って頂きありがとうございます。早速リンク先へ行き、読みました。

この検査、こちらでは昨年から実施されるにあたって、出生前健診でダウン症と分かってから子どもを産んだお母様の話を聞いて討論する機会がありました。
この方は、家族関係の研究で博士課程を取っておられて、ダウン症の子どもを産む前から、障がいの判明した新生児を持つ親御さんの心理的サポートをする仕事をずっとしていた方でした。(今は息子さんも中学生になっています)
ご自身が専門であることを身を持って体験されたわけですが…。彼女は、出生前健診に賛成していて、その理由を子どもを産んで障がいが判明した場合、そこから経験するショック、怒り、否定…などの5段階の(妊娠中に思い描いていた理想の未来の)喪失への反応の及ぼすネガティブな影響をある程度避けることができるためだと言っていました。(子どもは自分の命が親にショックを与えている、という状況下で最初の数年を過ごさずに済む、と。)
精神的、物理的に、子どもを迎え入れる準備をしてから出産に挑めたことが、自分にとっても子どもにとっても良かったと話していました。

こういう意見は私にとっては新しかったので、そういう考え方もあるのか、と斬新に思いましたが。

こういうことになると色々な考え方が出てくると思いますが、偏った情報やイメージだけを基に自分の意見を固めずに、色々な方向から色々な情報やイメージを得て、じっくり考えて意見を持っていきたいですよね…。

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