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2013年6月19日 (水)

学習障害(LD)の子どもをサポートする4つのヒント

学習障害(Learning Disabilitiesの頭文字を取ってLDと言われる)は、知的発達の遅れによるものではない学習に関わる能力(読み、書き、計算、理解、聞く、話す、推測するなど)に著しい困難を伴う状態で、原因は様々ですが、いずれにしろ本人のやる気や怠けの問題ではなく脳機能の状態によって引き起こされる困難さを指します。


なので、ちょっとした教え方の違いやサポートのあり方で、本来の能力が発揮され、実はとても賢い生徒だったんだ…と教師を驚かすことが多々あります。



私の教えた大学のクラスにも、毎クラス3,4人はLDのある学生がいますが、どの学生もとても賢く、将来素晴らしい教師になるだろうなーと思わず目を細めてみてしまうような才能のある人ばかりでした。(そのどの学生も、中学校や高校で学習の仕方を上手く教えてくれた恩師のような人がいて、その人のおかげで自分の人生が変わった、というような経験をしているのが面白いです)


私の学科の教授の一人にも、読み・書きのLDを持つ人がいますが、彼女の場合も日本にいれば、高校受験の辺りから今とは全く違う進路へと進んでいたのかな…と思うと、こんなに優秀な人材が、埋もれてしまうというのは勿体ないことだと思ってしまいます。


LDが理解されるまでは、LDのある子は単なる勉強のできない子とか、怠けものとして一括りにされてきました。本人は教師や親の期待に応えようと頑張っているのですが、そのたびうまくいかないという経験を繰り返すうちに、中高生になる頃には、どうせやってもできない、と思うようになり、最初から何もやろうとしない状態になっていくケースが多く、高校中退をする生徒の中にはLDの生徒も多いです(アメリカでは)。




さて、
LDにもいろいろなタイプがありますが、今回は視覚・認知に困難を持つ子ども(や大人)の学習を助ける4つのヒントを紹介したいと思います。


視覚認知障害は、目で見たことを脳で処理する際に起こる困難性です。



例えば…

記号を読み間違える(+と×の区別がつきにくいなど)

何かをじっと見ていられない(読んでいる最中に、きょろきょろと別のことに気がとられる)

ノートの線の中に文字を収められない(文字がはみ出る、ばらつく、どんどん脱線するなど)

物の距離感がつかみにくい(よく物にぶつかる、物を端っこに置くなど、例えばグラスをテーブルから落ちそうなほどの端に置くなど)

似ている物や文字の形、色の識別などが難しい(b とd、 pとq の区別がつきにくいなど)


他にも、

テストに書いてある指示など、大事な情報を見つけて理解するのが難しい

理路整然と物語を書くのが難しい

情報を本や黒板から書き写すのが難しい

針仕事など細かい手の動きが難しい

速記ができない(できたとしても字が読めないほど汚くなるなど)



また、視覚認知障害のある人には、短期・長期記憶に困難を示す場合もあるようです。




では本題の4つのヒントです


1.やることの手順を短い文で簡潔に紙に書いて渡す。

 
行間を大きくとって、大きめの文字で書くことも大事です。

クラスでこれから何か課題をする場合、まずはこれをしてあれをして、それが終わったらあれをして…と延々と指示を出す場合が多いと思いますが、視覚・認知障害のある子どもの場合、それを覚えるのが難しく、一つ目の課題を終えるとぶらぶらと歩きまわったり、周りの生徒の邪魔をしてしまったりして先生に注意される、というケースがよくあります。


その子どもだけに書いた手順を渡すと、変に注目を集めてしまう場合などは、クラスの子ども全員に同じものを配ると良いです。こうした手順書はどの子にとっても分かりやすく、助かるはずです。


家で用事を頼む場合にも書いて渡す、というのを実践すると良いと思います。
子どもが大きくなってくると、自分で手順書を書く練習もさせて、いずれは自分で聞き取りながら書くようになれると良いですが、それがどうしても難しい場合は、相手に事情を説明して書いてもらうように頼むことを身につけるというのも大事なスキルです。


(この頃はいろいろなテクノロジーがあるので、音声を録音したり、録音した音声を書き出す機能などを使うのも手ですが、音声書き出し機能はまだまだ不完全なのが問題です)



2.声に出して読む。


視覚・認知障害のあるLDの子どもの場合、自分自身の声に出して言うことで情報のインプットがしやすくなります。


文字に書いてある情報を学ばせたい場合、まず声に出して読ませる。そしてその情報についてディスカッションさせたり、話させたりする。

例えば、こういうタイプの子どもの場合、漢字を覚える場合にも、何度も書いて覚えるよりは、漢字の部位を語呂合わせのようにして声に出して何度も言うことの方が覚えやすいことがあります。




3.読みの勉強の時に、「ペーパーウィンドウ」を使う


ペーパーウィンドウとは、紙を切り抜いて作った台紙のようなもので、今読んでいる箇所だけに注目するのを助ける道具です。

簡単に手作りできます。


良い画像が見つからなかったのですが、こんな感じ↓

Img_92331


台紙は模様がない方が良いような気がしますが、本人がお気に入りの台紙を手作りして、こうして好きな模様のついた台紙を使うというのも悪くないかもしれません(本人のモチベーションが上がるのと、長く使い続けるかもしれない、という点で)。


行が入り交じって見えるLDの場合、この紙小窓があるだけで、読みのレベルが劇的にアップするので、本人も読むのが楽しくなるし、読める自分に自信が持てるようになるので、こんなに簡単な手法なのに、もたらす恩恵の大きいのが紙小窓の良い点です。




4.インデックスカードを使う。


リングのついた小さな単語カードのようなものがあると思うのですが、それに何度も出てくる大切な情報(数学の公式や英単語など)を書きこませ、声に出して何度も情報をリピートするいわゆる古典的な自習方法ですね。

目で見て声に出して言う、という繰り返しが、視覚・認知障害のある子どもには効果があります。



最後におまけ。


これはLDだけではなく、ADHDや自閉症の子どもにも当てはまることですが、教室で活動を初める前に手順の指示を与える、というのが大事です。いったん活動が始まってしまうと、がちゃがちゃとほかの子どもが何かをしたり話したりしている中で指示を聞くというのがとても難しいからです。本人も、目の前にある紙や道具に気を取られてしまい、なかなか指示が入りません。


活動に使う道具(例えばワークシート、折り紙、はさみ、粘土などなど)を配る前に、これからすることを簡潔に分かりやすく伝えて、活動が始まってからは子どもが自分で活動手順表や黒板を見ながら動くようにするのがベストです。
これは多くの教師が自然としていることですね。



"If a child can't learn the way we teach, maybe we should teach the way they learn."


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