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障がい児・者/特別支援教育

自閉症を疑似体験できるカフェ、自閉症と睡眠障害

2016年6月22日 (水)

自閉症と睡眠障害-メラトニン療法とは

(*この記事は、2016年5月にAutism Speaksの発行した"Melatonin and Sleep Problems in ASD: A Guide for Parents"を基に書いています。Autism Speaksから原本をダウンロードすることも可能です。アルバータ大学の睡眠医学専門家のJoanna MacLean医師・博士とバンダービルト大学のBeth Malow医師が書いたものです。)




自閉症と睡眠障害に関しては、2012年にその原因や行動療法的なアプローチの仕方について書いた記事もあるので、是非参照してください。(その記事はこちら。)


自閉症のお子さんの中には、良い睡眠習慣があっても(睡眠習慣の整った環境にいても)、どうしても睡眠障害がなくならない子どもがいます。そのようなお子さんや成人の方を対象に使われるのがメラトニン療法です。


メラトニンとは何か?



メラトニンとは、脳の松果体で分泌される体内時計システムを司る天然の化合物(ホルモン)です。


夜になって暗くなると、メラトニンのレベルが上昇し眠くなり、朝になって明るくなると、メラトニンのレベルが下がり目覚めます。そのため、「暗闇のホルモン」とも呼ばれています。


また、メラトニンは季節の変化や、思春期の始まりなどに関わる体内時計にも重要な役割を果たしています。


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                               (ねむりくらし研究所 のイラスト引用)




なぜメラトニンのサプリが自閉症の子どもに有効なのか?



自閉症のお子さんの約3分の2が睡眠問題を抱えています。


はっきりと結論付けるにはもっと多くの研究が必要ですが、自閉症のお子さんの中には夜にメラトニンのレベルが減少したり、メラトニンの分泌量が一定ではない子どもがいるという報告があります。


そのようなお子さんにメラトニン療法が効果的です。


(ちなみに、二歳以下の子どもへのメラトニンの効果に関する情報はまだ存在していません。)



メラトニンの使用方法



アメリカやカナダでは、薬局(ドラッグストア)やスーパーのサプリの並ぶ棚にメラトニンも並んでおり、誰でも気軽に買うことができます。


Shopping


私もバセドウ病マックス期には、夜あまりにも寝付けず、メラトニンを飲んでいたことがありました。時差ボケを避けるために、旅先で飲む人も多いです。

コンタックのMr.コンタック(というらしい-今知りましたちなみにMr.コンタックは今年が生誕20周年だそうです←どうでも良い情報)のような感じで中に顆粒が入っていて、簡単にカプセルを手で開けることができるので、中の量を自分で加減したり、顆粒を飲み物や食べ物に混ぜることも可能です(飲み物や食べ物に混ぜる場合、薬剤師に相談してください)。


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一般的には、毎晩寝る30分前に飲みます。

自閉症の睡眠障害専門家の中には、2~5時間前に飲むことを勧めている人もいます。これに関しては個人差もありますので、お医者さんに相談してみましょう。


年齢、身体のサイズに関わらず、最初は少量(0.5mg~1mg)で始めるのが良いようです。


効果をみながら少しずつ量を増やしていきます。


多くの研究が、6mg以下が良いと報告しています。


メラトニンのサプリには、スローリリースタイプ(ゆっくりと時間をかけて身体に取り込まれるタイプ)と普通タイプの二種類があります。

夜中に目覚めてしまうタイプの子どもには、スロータイプが良いようです。



メラトニンの副作用


副作用はほぼありません。


また習慣性(中毒性-これを飲まないと眠れなくなるなど)もありません。


たまに、悪夢を見る、昼間に眠くなる、めまいがする、頭痛、胃の不快感、低血圧、おもらし、目覚めた時に意識がぼーっとするなどを経験する子どもがいます。(私も、寝ざめがめちゃくちゃ悪い、昼間もずっとだるい・眠い、というのを経験したことがあります。これは摂取量を減らすことで改善できます。)


また、メラトニン摂取で、てんかん発作が減る可能性があるという研究報告もあります。ちなみに、メラトニンは、てんかんの薬には影響がありません。


子どもの中には、メラトニンの摂取によって、よりアクティブになって寝られなくなるというケースもあるようです。

とにかく、メラトニン療法を始める前に、主治医に相談して、既に摂取中の他の薬に影響がないかなど確かめることが大事です。



メラトニンの効果を知る方法


アナログですが、睡眠日記をつけます。

メラトニンを始める前から付けはじめ、メラトニン接種後の様子と比べます。

睡眠日記には、

その日のメラトニンの量、子どもの寝つき、睡眠時間、寝起きの様子、その日一日の様子などを簡単に記します。


睡眠が改善されると、日中の注意力や行動に変化が出る子どももいますが、行動にはさほど変化のない場合もあります。


メラトニンでは睡眠改善の効果のない子どももいます。他の効果的な薬もあるので、主治医に相談してみましょう。



メラトニン療法はどのくらい続けるべき?


勿論、深刻な副作用が出た場合、すぐにメラトニンの摂取は止め、主治医に相談しましょう。

また、最大量のメラトニン摂取をしても、睡眠障害に変化が現れなければ、摂取を止め、他の方法を主治医と相談してください。


もし、メラトニンが効果的であれば、摂取を続けます。


長期の摂取とその影響に関する研究はまだありませんが、メラトニンはそもそも体内で分泌される自然のものなので、長期摂取も安全だとみられています。

3~9歳の子どもへのメラトニン療法の影響に関する研究では、脳の他のホルモンへの影響はないと報告されています。


子どもの成長に伴い、睡眠のパターンも変わるので、それにあわせて、メラトニンの量を減らしたり、飲むのを止めてもOKです。


効果はあるが、そろそろメラトニンがなくてもいいんじゃないか、試しにメラトニンをやめてみたい、と思ったら、子どもの日中の行動が平穏な日々が続いている時に摂取をやめるのがおすすめです。



Thesleepingdog



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2013年11月 2日 (土)

自閉症の子どもの教育について-テンプル・グランディンからのアドバイス

これは2012年の8月に、学校の新学期が始まるにあたって、テンプル・グランディンさんが教師や親へのアドバイスとして、TakePartというニュースサイトに寄稿した記事です。(オリジナルサイトはこちら

その当時から、いつか訳してブログに載せようと思いながら、のびのびになっていました…



テンプル・グランディンさんは動物学者で、コロラド州立大学の准教授です。牛にとってよりストレスのかからない農場設計を考案したことは有名で、彼女の設計した家畜施設がアメリカやカナダの多くの農場で使用されています。


動物学者としての成功と共に、彼女を有名人にしているのは、彼女が自閉症と共に生きているということです。


現在も自閉症啓発運動に積極的に参加し、自身の経験をもとに社会における自閉症の理解を広めようと活躍されています。

自閉症の人の視点から、その行動の意味や、感覚過敏などが実際どのような感じなのかを言葉で説明するのがとても上手であるため、講演会でも引っ張りだこで、たくさんの著書もあります。



2010年に、テレビ映画として作られたクレア・ディンズ主演の「Temple Grandin」(邦題:テンプル・グランディン-自閉症とともに)という彼女の半生を描いた映画はエミー賞を受賞し、かなりよくできていると評判なので、もしまだ見たことがなく自閉症に興味のある方がいれば、是非ご覧になってみてください。



Temple_grandin



さて、本題のテンプルさんからのアドバイスです。



"Kids with autism often get fixated on one thing, and it is important to expand their fixations."

「自閉症の子どもは一つのことにこだわることが多い、そのこだわりを広げることが大切です。」



こだわりを広げる、という時、まず大事なのは、その子どものできないことばかりに目を向けるのではなく、できることに注目すること。


多くの自閉症の子どもは一つの能力に長けている反面、別の能力に欠けていることがあります。例えば私(=テンプルさん)の場合、アートの才能はありましたが、代数などは全くもって意味をなしませんでした。


勿論、子どもの弱点を補強するのも大事です。
が、そのことに気を取られ過ぎて、長所を伸ばすことを忘れるべきではありません。



もし、私の先生が、私のアートの能力を無視し、弱点の補強ばかりに力を注いでいたら、現在の北米における家畜施設の多くが存在していなかったでしょう。




では、どのように凝り固まった興味を広げるのか。




私が小学生の頃、母と先生は私の絵画能力を広げるようと働きかけてくれました。

自閉症の子どもはよく、同じ物を何度も何度も描くことに凝り固まってしまうことがあります。


私の場合それは馬の顔でした。



馬の顔を書くのはとても簡単でした。でも足を書くとなると難しかった。


先生はいつも、馬の全体像を描くように声をかけ励ましてくれました。そしてそれができるようになると、馬の像を粘土で作るように勧めてくれました。



我が家では、毎年夏にビーチへ行っていたので、ビーチへ行くとビーチの絵を描くように母が勧めてくれました。


私が上手に海の絵を描いた時、母はそれを本物のガラスの入ったプロの額縁に入れて褒めてくれました。私の描いた絵が、本当に上質で大人レベルだった時にだけ、ガラスの入った額縁へ入れてくれました。



子どもの能力を広げるのはとても大事です。そして能力を様々な違うことに使うように広げていくことが大事です。



もし、レースカーの好きな自閉症の子がいれば、レースカーを題材にして読み書きの練習や数学の勉強をさせてみましょう。
もし、その子がレースカーばかりを描いていたなら、普通の人が買うようなスポーツカーを描くように励ましたり、それができれば次にレースの行われる会場の絵を描くように声をかけましょう。




子どもが大きくなった時、その能力を他の人がやって欲しいと思うことに使う必要がでてきます。



誰もエンドレスに同じ馬の顔の絵ばかりを欲しいとは思わないのです。



私にとっては何の面白味がなくても、私は誰かの欲しがる絵を描くことを学ばなければならないのです。



もし、書くことが好きな自閉症の子がいれば、誰かの面白がる文を書くスキルを教えてあげてください。もしその子が中学生なら、教会のウェブサイトや町内会のブログを書く仕事を与えるのも良いでしょう。
その子がレースカーにこだわりがあったとしても、この場合、レースカーについてばかり書くことが適切ではないということを教えてあげなければなりません。



与えられた仕事をこなせるように能力を使うことを学ぶことが不可欠なのです。



以前、美大をオールAの成績で卒業した自閉症のエリート学生が、雇用主の欲するばかばかしい鳥のグラフィックを作り続けるのが厭だったため、仕事を失ってしまったという悲しい話を聞きました。


仕事は労力を要するものです、つまり、もし雇用主がばかばかしい鳥のグラフィックを欲しいなら、私たちはとても上質なばかばかしい鳥の絵を描かなければならないのです。


そして経験を積み、その経験を履歴書に書き加えて、もっと自分にとって興味のある仕事を探せば良いのです。




ここまでが、テンプルさんのアドバイスです。


彼女らしい理路整然としたアドバイスですが、

今の彼女は自分の動物学者としての業績をとても誇りに思っており、それは親や教師が彼女に好きなことだけさせて放置することをしなかったからだ、と感謝しているようです。

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2013年7月27日 (土)

自閉症教育モデルで最も有効なものは?―TEACCH vs. LEAP vs. 普通のクラス

自閉症の特性が理解されるにつれ、様々な教育モデルやトレーニングモデルが考案されてきました。


その中でも良く知られているLEAPとTEACCHという二つの教育&トレーニングモデルがあります。


この一見全く両極にあるように思える2つのモデルと、何のモデルも使っていない普通のクラスとの3つを比較する研究結果が先月発表されました。(比較されたのは3~5歳児の保育園のクラスです)


それによると、

LEAP、TEACCH、モデルを使用していないクラス、どれにおいても、生徒の成長と学びが同じように表れた、というのです。


ただ、ここで大切なのは、そのどれもがスキルのある教師による質の高いクラスを対象に研究された点です。


この研究結果を見ると、どのモデルを使ったか、ということよりも、教師の質と教師と子どもとの良い関係の方が、子どもの学び&成長にとって重要であるということが分かります。



ところで、TEACCHは日本でもある程度知名度が高いと思いますが、Treatment and Education of Autistic and Communication-Handicapped Childrenの頭文字を取って(少しひねりを加えて)TEACCHと呼ばれています。


自閉症の特性に特化した教育&トレーニングモデルで、多くの場合目から入る情報を用いて(視覚支援)、見通しと理解を持って課題(手を洗うなど小さなことでも良いのですが)に一人でも取り組めるようになるようサポートする環境づくりと、そのモデルに携わる教師や親への教育を含めたモデルです。


その環境づくりのところで、物事の順序や意味が明確になるように環境の構造化をがっちりする人も中にはいて、そのイメージから、TEACCHは構造に沿った固いモデルのような印象を持つ人も多いかもしれません(曖昧性や臨機応変性を排除したまるで機械のように作業をこなす人間を作るイメージですね。実際のモデルの目指すところはそこではないのですが。


なので、TEACCHとはまるで対極にあるように理解されているモデルが、LEAP=Learning Experiences Alternative Program for Preschoolers and their Parentsになります。


LEAPというのは保育園児を対象に、自閉症のある子と障害のない子を同じクラスに入れて、普通の状況(real-world settings)で子ども同士の自然なやり取りを通してコミュニケーションスキルや社会性を育てていくモデルです。


障害のない子が自閉症の子と上手くコミュニケーションを取るために、こうやって声を掛けてごらん、とか、こうやってしてごらん、と大人が教えてあげることで、双方のやり取りの場を作っていきます。


一つの場面で見られたやり取りを、他の場面や違う設定でもできるように(般化するために)、大人がいろいろな場面で仕掛けていきます。
そして毎日、目標となる行動のデータを取り、次の日の実践プランを立てていく、というものです。


LEAPはその効果の高さから、研究に裏付けされた効果のあるモデルとして認定されています。



さて、冒頭の研究に戻って、


この研究では、25のTEACCHを用いたクラス、22のLEAPクラス、そして27の特定のモデルを使用していないクラスとを比較しました。


自閉症の子どもの数で言うと、85人(TEACCH)、54人(LEAP)、そして59人が対象になっています。

研究をしたのは、Boyd博士率いるTEACCHの本拠地ノースカロライナ州立大学の研究者グループです。


研究結果によると、それぞれのグループに属する園児全てが、自閉症(的症状や行動)の軽減、コミュニケーションスキルの上達、指先を使った微細運動スキルの上達を示しました。そしてその成長にモデル間の差異が見られませんでした。



少なくとも、それぞれのモデルに違った強みがあると予想していたのがそうではなかったので、この結果は研究者にとっても驚きだったようです。


研究対象になった「質の高い」クラスで見られた、

学びの査定(どのような時に上手くできたか、できなかったか、などをチェックして次の日の授業に生かす観察記録のようなもの)、


家族を巻き込んだ指導(家との連携)、


教師と児童との良好な関係性、


などが、モデルそのものよりも大事なのかもしれない、と提示しつつ、


そうした質の高いクラス作りをできるように、教師をどうやってサポートしていくかがこれからの課題になる、と締めくくっています。


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Preschoolers, from left, Eleanor Kimball, Thalia Lugo, and Sam Moschetto play paleontologist as they dig for dinosaurs buried in sand during class at Millville Elementary School in Millville, Mass. As part of the LEAP program used in the class, teachers encourage students to work and play together as much as possible.—Gretchen Ertl for Education Week
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2013年6月29日 (土)

グルテンフリー食事療法と自閉症

みなさんは、グルテンフリーダイエットを知っていますか?


ダイエットと言っても、減量の意味ではなく、ここでは規定食とか食習慣という意味で使っています。


「フリー」というのは、それが含まれていない、ということですが、グルテンというのは、タンパク質の一種で、麦類に含まれる成分です。


このグルテンにアレルギーを持つ人(それが重症化すると「セリアック病」と呼ばれる)がいて、もともとはそういう人のためのグルテンフリーダイエットとして、「グルテンフリー」と書かれた食品パッケージなどがあったわけですが、


最近では、ハリウッドのセレブの間でグルテンフリーダイエットをすると、肌の調子が良くなったとか、やせたとか、体調が良くなったという話をする人が増えて(ミランダ・カーや、アン・ハサウェイなどがグルテンフリーダイエットを実行していると公言している)、健康志向の女性の間でちょっとした流行になっているのです。


ところで余談ですが、麦類を使わない伝統的な和食は基本的にグルテンフリーであることが多いです。



そのグルテンフリーダイエットが、自閉症の症状の軽減に効果がある、という理論上の意見を述べる研究が出てきたことで、ここ数年、アメリカではグルテンフリー&カセインフリーダイエット(頭文字を取ってGFCFと呼ばれる)を実行する親御さんが増えています。


カセインというのは、乳製品に含まれるタンパク質です。


このGFCF、登場した当初からその効果の程の疑わしさから(その上、本格的にGFCFを取り入れた食事を用意するのは手間もお金もかかるため)、賛否両論あり、未だにその自閉症への効果がきちんと実証されていません。



理論上の議論によると、自閉症のある人は、グルテンとカセインに含まれるペプチドやタンパク質に過剰に反応するか、特殊な消化をする可能性があるため、自閉症的な症状(コミュニケーションの難しさや、社会性の難しさ、自閉症的な行動:身体を揺らす、行動の繰り返しなど)が出るのではないか、という仮説が立てられたわけですが、


GFCFの効果は科学的には証明されておらず、多くの医学研究はGFCFの自閉症への効果をサポートしていないのが現状です。



今月(2013年6月)、「Education and Training in Autism and Developmental Disabilities」という学会誌に、

「Effectiveness of Gluten-Free and Casein-Free diets for individuals with Autism Spectrum Disorders: An evidence-based research synthesis」(グルテンフリー&カセインフリーダイエットの自閉症者への効果: 実証に基づく研究総括)という論文が掲載されました。



食事療法が自閉症への療法として登場した1977年から現在までに発表された論文から、総括的にその結果を考察して、GFCFの効果を調べたものです。


それによると、
GFCFに関するほとんどの研究は2000年以降に発表されており、論文数は23本とごく少なく、それぞれの研究の質もあまり良くないという結果で、


GFCFによって改善しようと試みたターゲットとなる行動・能力は、

コミュニケーションスキル(アイコンタクト、発語、無言語コミュニケーションスキルなど)、社会的やり取り、身体能力、知的能力、問題行動の減少(癇癪、自傷行為、攻撃性、物の破壊行動、逃避行動などの減少)、など多岐に渡り(23本の論文がそれぞれバラバラの行動をターゲットとしている)、


ほとんどの論文が1年以内に結論を出しており(7本の論文が1か月以内、6本が1~3か月以内という短い期間)、


23本の論文のうち、11本はGFCFと他の療法を併用しているため、GFCFそのものの効果が分かりにくいことと(研究対象として他の療法を用いていない研究でも、学校やセラピーなど普段から使用している療法を完全に除去してはいない)、


研究を長く続けた場合ほど効果が出ているという結果も報告されてはいるのですが、その間他の療法も続けているため、問題行動の減少などは、GFCFのみによるものとは言い切れない難しさがあり(長期の研究になれば子どもの自然な成長も加味しなければならない)、


結果として、やはり今のところは、


GFCFが自閉症のある人にどの程度効果があるかは不明、


という結論が導き出されています。


また、こうした研究総括の弱点は、学会誌に発表された研究だけがターゲットになる点です。


学会誌は、研究結果がハッキリとしている論文を好む傾向にあるため、効果不明のものや、効果なし、の研究結果を報告する研究が出版されにくいという問題があります。


というわけで、結局今の時点では、GFCFの効果は科学的にはまだ証明されておらず、更なる研究が必要ということですね。




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2013年6月19日 (水)

学習障害(LD)の子どもをサポートする4つのヒント

学習障害(Learning Disabilitiesの頭文字を取ってLDと言われる)は、知的発達の遅れによるものではない学習に関わる能力(読み、書き、計算、理解、聞く、話す、推測するなど)に著しい困難を伴う状態で、原因は様々ですが、いずれにしろ本人のやる気や怠けの問題ではなく脳機能の状態によって引き起こされる困難さを指します。


なので、ちょっとした教え方の違いやサポートのあり方で、本来の能力が発揮され、実はとても賢い生徒だったんだ…と教師を驚かすことが多々あります。



私の教えた大学のクラスにも、毎クラス3,4人はLDのある学生がいますが、どの学生もとても賢く、将来素晴らしい教師になるだろうなーと思わず目を細めてみてしまうような才能のある人ばかりでした。(そのどの学生も、中学校や高校で学習の仕方を上手く教えてくれた恩師のような人がいて、その人のおかげで自分の人生が変わった、というような経験をしているのが面白いです)


私の学科の教授の一人にも、読み・書きのLDを持つ人がいますが、彼女の場合も日本にいれば、高校受験の辺りから今とは全く違う進路へと進んでいたのかな…と思うと、こんなに優秀な人材が、埋もれてしまうというのは勿体ないことだと思ってしまいます。


LDが理解されるまでは、LDのある子は単なる勉強のできない子とか、怠けものとして一括りにされてきました。本人は教師や親の期待に応えようと頑張っているのですが、そのたびうまくいかないという経験を繰り返すうちに、中高生になる頃には、どうせやってもできない、と思うようになり、最初から何もやろうとしない状態になっていくケースが多く、高校中退をする生徒の中にはLDの生徒も多いです(アメリカでは)。




さて、
LDにもいろいろなタイプがありますが、今回は視覚・認知に困難を持つ子ども(や大人)の学習を助ける4つのヒントを紹介したいと思います。


視覚認知障害は、目で見たことを脳で処理する際に起こる困難性です。



例えば…

記号を読み間違える(+と×の区別がつきにくいなど)

何かをじっと見ていられない(読んでいる最中に、きょろきょろと別のことに気がとられる)

ノートの線の中に文字を収められない(文字がはみ出る、ばらつく、どんどん脱線するなど)

物の距離感がつかみにくい(よく物にぶつかる、物を端っこに置くなど、例えばグラスをテーブルから落ちそうなほどの端に置くなど)

似ている物や文字の形、色の識別などが難しい(b とd、 pとq の区別がつきにくいなど)


他にも、

テストに書いてある指示など、大事な情報を見つけて理解するのが難しい

理路整然と物語を書くのが難しい

情報を本や黒板から書き写すのが難しい

針仕事など細かい手の動きが難しい

速記ができない(できたとしても字が読めないほど汚くなるなど)



また、視覚認知障害のある人には、短期・長期記憶に困難を示す場合もあるようです。




では本題の4つのヒントです


1.やることの手順を短い文で簡潔に紙に書いて渡す。

 
行間を大きくとって、大きめの文字で書くことも大事です。

クラスでこれから何か課題をする場合、まずはこれをしてあれをして、それが終わったらあれをして…と延々と指示を出す場合が多いと思いますが、視覚・認知障害のある子どもの場合、それを覚えるのが難しく、一つ目の課題を終えるとぶらぶらと歩きまわったり、周りの生徒の邪魔をしてしまったりして先生に注意される、というケースがよくあります。


その子どもだけに書いた手順を渡すと、変に注目を集めてしまう場合などは、クラスの子ども全員に同じものを配ると良いです。こうした手順書はどの子にとっても分かりやすく、助かるはずです。


家で用事を頼む場合にも書いて渡す、というのを実践すると良いと思います。
子どもが大きくなってくると、自分で手順書を書く練習もさせて、いずれは自分で聞き取りながら書くようになれると良いですが、それがどうしても難しい場合は、相手に事情を説明して書いてもらうように頼むことを身につけるというのも大事なスキルです。


(この頃はいろいろなテクノロジーがあるので、音声を録音したり、録音した音声を書き出す機能などを使うのも手ですが、音声書き出し機能はまだまだ不完全なのが問題です)



2.声に出して読む。


視覚・認知障害のあるLDの子どもの場合、自分自身の声に出して言うことで情報のインプットがしやすくなります。


文字に書いてある情報を学ばせたい場合、まず声に出して読ませる。そしてその情報についてディスカッションさせたり、話させたりする。

例えば、こういうタイプの子どもの場合、漢字を覚える場合にも、何度も書いて覚えるよりは、漢字の部位を語呂合わせのようにして声に出して何度も言うことの方が覚えやすいことがあります。




3.読みの勉強の時に、「ペーパーウィンドウ」を使う


ペーパーウィンドウとは、紙を切り抜いて作った台紙のようなもので、今読んでいる箇所だけに注目するのを助ける道具です。

簡単に手作りできます。


良い画像が見つからなかったのですが、こんな感じ↓

Img_92331


台紙は模様がない方が良いような気がしますが、本人がお気に入りの台紙を手作りして、こうして好きな模様のついた台紙を使うというのも悪くないかもしれません(本人のモチベーションが上がるのと、長く使い続けるかもしれない、という点で)。


行が入り交じって見えるLDの場合、この紙小窓があるだけで、読みのレベルが劇的にアップするので、本人も読むのが楽しくなるし、読める自分に自信が持てるようになるので、こんなに簡単な手法なのに、もたらす恩恵の大きいのが紙小窓の良い点です。




4.インデックスカードを使う。


リングのついた小さな単語カードのようなものがあると思うのですが、それに何度も出てくる大切な情報(数学の公式や英単語など)を書きこませ、声に出して何度も情報をリピートするいわゆる古典的な自習方法ですね。

目で見て声に出して言う、という繰り返しが、視覚・認知障害のある子どもには効果があります。



最後におまけ。


これはLDだけではなく、ADHDや自閉症の子どもにも当てはまることですが、教室で活動を初める前に手順の指示を与える、というのが大事です。いったん活動が始まってしまうと、がちゃがちゃとほかの子どもが何かをしたり話したりしている中で指示を聞くというのがとても難しいからです。本人も、目の前にある紙や道具に気を取られてしまい、なかなか指示が入りません。


活動に使う道具(例えばワークシート、折り紙、はさみ、粘土などなど)を配る前に、これからすることを簡潔に分かりやすく伝えて、活動が始まってからは子どもが自分で活動手順表や黒板を見ながら動くようにするのがベストです。
これは多くの教師が自然としていることですね。



"If a child can't learn the way we teach, maybe we should teach the way they learn."


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2013年4月28日 (日)

自閉症診断のためのバイオメーカー研究

今週の水曜から、複数の大学と複数の医療技術系の会社とが連携して、血液や唾液の成分から自閉症を特定するためのバイオメーカーを探す大規模な研究が始まりました。


この研究は、アメリカ国内の20の異なる地域、660人を対象にしている、今までで一番大きな規模の研究です。


自閉症のような、脳機能の働きが多くの人と異なるような状態を見分ける方法は、今のところ専門家による質問形式しかなく、自閉症的な行動に関する質問項目にいくつ当てはまるかによって、診断が下りたり下りなかったりします。


この客観性に欠ける診断方法への疑問は長年指摘されていましたが、それに代わる信憑性のある診断方法がなかなか確立されないまま今に至っていました。


アメリカにおける自閉症の診断がおりる平均年齢は4歳。
これはかなり遅いです。


適切なセラピーや療育は、早く始めればそれだけ効果も大きいことが知られています。
(*この場合、効果というのは、自閉症が治るという意味の効果ではありません。あくまで、自閉症の人が彼らなりに幸せな人生を生きる基礎を築くという意味での効果です。)


子どものためにも家族のためにも、早期診断&早期療育はとても大事で、後の問題行動の減少や家族のストレス減少にも影響してくる大切なステップです。

が、親御さんが「この子は何かが違う」と早いうちに感じて、アドバイスを求めていろいろな機関を回っても、特に重度の自閉症ではない場合(アスペルガーや広汎性発達障害、高機能自閉症の場合は特に)、心配のし過ぎ、とか、もう少し様子を見ましょうとか、男の子だから言葉が遅いのは普通、などと言われ続けて、やっと診断が下りたら、もう子どもは5歳になっていた、というようなケースは少なくないのです。


その間の親御さんの苦労(一人で抱え込んだり悩む場合が多い)や、子ども自身の苦労を考えると、客観的にできる診断方法の必要性を感じます。

もちろん、適切な診断方法の確立と共に、適切な療育やセラピーを提供するサービスも発達しなければならないのですが…。


Bloodtestautism

2012年8月29日 (水)

父親の年齢と子どもの自閉症のリスクに関する研究

ここ最近、自閉症の原因に関する研究関係のニュースがいくつか入って来ていました。

こうした原因に関する研究について話す時、それがどうしても誰かや何かを責めることになる場合があるので、私は意図的に避けているのですが(大学で学生に教える時には、「事実」として淡々と話をしますが)、ここで少し紹介したいと思います。

まず最初に、はっきりしているのは、自閉症の起こる原因はこれ、と一つのはっきりとした原因があるわけではない、ということです。

そして、人間が人間である限り、誰にでも自閉症を持つ子どもを産む可能性はあります。

最も新しいアメリカの統計によれば、88人に1人の子どもが自閉症を持っているというので、これはかなり高い確率です。


イェール大学のチームがNeuron誌に発表した2011年論文によると、少なくともゲノムの130サイトにおける自然発生的な突然変異(遺伝によるものではなく、その固体において急に起こる変異)が自閉症に関係し得ることを報告しています。
更に研究が進めば、恐らく合計でゲノムの400近いサイトが自然発生的に起こす突然変異が、自閉症の発症に関係すると分かるだろうということです。


自閉症は、男の子の方が女の子より4倍も多くみられますが、その原因の1つとして、自閉症の女の子の方が男の子より突然変異したゲノムのサイトの多いことが挙げられています。つまり、女の子の方が、自閉症を発症するのにより多くのゲノムの変異を要するため、自閉症になる確立が下がるというのです。


先週、Nature誌に発表された研究は、また別の角度から自閉症の原因について報告しています。

それによると、父親の年齢が自閉症や統合失調症のリスク(ランダムな突然変異)の上昇と関係している、というのです。そして、母親の年齢はリスクの上昇に関係が無い、と報告しています。

研究によれば、年齢の高い父親の子どもは、自発的な突然変異の起こるゲノムのサイト数が多くなる傾向がみられました。

20歳の父親に生まれた子どもは、父親に由来する遺伝子に平均25のランダムな突然変異が見られましたが、その数は父親の年齢が上がる毎に増えていき、40歳の父親に生まれた子どもは、65のランダムな突然変異が見られたということです。

一方で、母親由来の遺伝子に起こるランダムな突然変異は、母親の年齢に関わらず常に15でした。

ただ、この研究で報告されている突然変異が自閉症をもたらす確率は、全体の20~30%だということも知っておく必要があります。


若い父親に自閉症を持つ子どもが生まれる場合もあるし、年齢の高い父親に自閉症を持たない子どもが生まれる場合もあります。


とにかく色々な要素が偶然に重なり合って自閉症になる場合があるし、ならない場合もあるということです。


Father

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2012年8月17日 (金)

自閉症をもつ子どもの母親のストレスレベルはコンバット並み

2009年~2010年に発表されたシリーズ研究(同じ被験者でいくつかの違った研究を行ったもの)からの報告です。

思春期や青年期の自閉症をもつ子どもの母親が、慢性的なストレス、それも最前線で戦う兵隊(コンバット)と同じレベルのストレスを抱えている、というのです。

そして、そうした母親は障がいを持たない子どもの母親と比べて、かなり多くの時間を子どもの世話に費やしています。

この研究では、思春期や青年期の自閉症を持つ子どもの母親に8日間毎日(1日の終わりに)インタビューをして、ストレスに関係するホルモンレベルを測りました。

(*研究が発表されたのは、2009年の「Journal of health and social behavior」という論文誌, 研究者はSeltzer, M. M., Almedia, D. M., Greenberg, J. S., など, 2010年の「Journal of Autism and Developmental Disorders」という論文誌, 研究者は同じく Smith, L. E., Hong, J., Seltzer, M. M., Greenberg, J. S., らです)


これによると、ホルモンレベルの結果は、
最前線で戦う兵隊(コンバット)と同じレベル特に行動障害のある子どもの母親の場合、強いレベルのストレスを慢性的に感じていると分かりました。(これは、以前から分かっていたことを、科学的に証明しただけのことですが、コンバットと同じレベルというとその大変さがよく伝わりますね)

まだ研究で直接証明されているわけではないのですが、この研究で調べたホルモンレベルと身体的健康との関係(免疫力の低下など)は既に分かっているので、もしかすると、長い間のストレスによって、行動障害を持つ自閉症のお子さんの母親には、身体的な健康問題を持つ人が多く見られるかもしれない、と研究者は言っています。

インタビューの結果は、障がいを持たない母親の全国データと比較されました。それによると、自閉症を持つお子さんの母親は、障がいを持たない子どもの母親の平均約2倍の時間を子どもの世話に費やしており(これは、子どもが既に思春期~青年期に差し掛かっているのに、と言う点が大事です)、約2倍疲労を感じており、約3倍ストレスに感じられる出来事を日々経験している、ということが分かりました。

けれど、ネガティブな結果ばかりではなく、自閉症のお子さんの母親は、毎日何かしらポジティブな経験をしたり、ポジティブな気持ちを感じたりしていることも、この研究は報告しています。

この頃は、障がいを持つ子どもをもつことが、親や家族に及ぼすポジティブな影響の研究もかなり進められていて、精神的な成長や、今まで感じられなかったことを感じられるようになった(日々への感謝や、他人への感謝、世界観が変わったなど)、人と接する時に辛抱強くなった、心が広くなった、など、色々な報告があります。

(障がいを持つ子どもの家族へのサポートを考える場合、大変さを理解することはとても大事なので、そういう研究が多くなりがちですが、これから親になる世代へ向けたメッセージや、社会全体へ向けたメッセージとしては、障がいを持つ子どもが家族にいることが、必ずしも負の意味ばかりをもたらすわけではない、という研究報告はとても大事になります。)

今回ここで紹介した論文を書いた研究者の1人、Smithさんは、「大事なのは、日々の生活で自閉症の子どもを持つ母親が、障がいを持たない子どもの母親と比べて、強いストレスを慢性的に感じていること、自分自身のために使う時間がほとんどないこと、そして、そうした家族にもっと多面的なサポートが必要だということです」と言っています。

特に、多様なレスパイトケアのオプション(使いやすさも考慮したもの、子どもが大きくなってからも)、もし家の外で働いている母親の場合、職場の理解とサポートの整ったシステムが必要だ、と言っています。もちろん、行動障がいを助けるプログラムの普及と平行して行うことが大事になります。


Autism_2
upwardrightこれは、Autism Awareness(自閉症を知ってもらおう)という運動のロゴマークに、自閉症=(英語で)Autismのあいうえお作文をしたものです。

Always Unique Totally Interesting Sometimes Mysterious.

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2012年7月18日 (水)

自閉症と睡眠障害-眠りを助ける方法

(* この記事は、バンダービルト大学の睡眠障害センターで障害児の睡眠障害について研究されているBeth Malow準教授の研究を元に書きますが、様々な過去の研究も含まれてます)


自閉症を持つお子さんの多くが、睡眠障害を抱えています。

特に乳幼児の頃の睡眠障害に悩まされる親御さんは多くいます。

自閉症を持つお子さんや赤ん坊に見られる睡眠障害の主な例は

 
- 寝つきが悪い(夜遅くまで寝ない)
- 睡眠時間が不規則
- 眠りの質が低い(しっかりと寝ていない、よく目が覚める)
- 朝早く起きる(朝早く起きて歩き回る)

 
などです。


睡眠不足は親御さんを精神的に追い詰めていきますし(親御さんの脳が休まらずストレスになる→昼間の活動に影響を及ぼす[イライラ、疲れ、マイナス思考など]→ただでさ大変な子育てがますます辛くなる→自己嫌悪に陥る、などなど…)、睡眠時間の確保は、家族の生活の質を全体に下げてしまいます。
子どもために、自分を犠牲にしてまで頑張ってしまいがちになりますが、家族が元気であることは、子どものためにも一番大事な土台となるので、家族も休まなければなりません。


もちろん子どもにとっても睡眠時間の確保は大事で、自閉症のお子さんの睡眠の質が改善されると、情緒の安定、不安の減少、興味の拡大などが見られた、という研究報告もあります。


ところで、
随分前には、乳幼児の睡眠障害が自閉症を引き起こす、というようなことを言う人もいたようですが、これは逆です。
正しくは、自閉症があるから睡眠障害がある、と言うべきです。


では、なぜ自閉症があると睡眠障害を引き起こすのか?


これには一つの答えが出ているわけではなく、いくつかの原因や推論が挙げられています。
これは、自閉症と言っても千差万別で、色々な性格の人が存在するのと同じで、自閉症の人でもそれぞれ違うからです。


睡眠障害のいくつかの理由


自閉症を持つ人の睡眠障害の原因として以下のことが挙げられます。


- 睡眠リズムを助けるメラトニンや興奮を抑えるセロトニンを作るトリプトファンというアミノ酸の過多、または過少が自閉症を持つお子さんに見られること。いくつかの研究では、自閉症のあるお子さんは、昼間にメラトニンが分泌されて眠くなり、夜にはメラトニンが低くなって目が覚める、という報告をしています。


- 外からの刺激に敏感であること。自閉症のお子さんの中には、触覚、視覚、音などを敏感に感じる人が多く、布団の中で身体が落ち着かずもぞもぞとしたり、少しの光や音に反応して目覚めてしまうことがあります。


- 社会的合図が読み取りにくいこと。自閉症のお子さんの中には、社会的合図を読み取るのが苦手な子がいます。例えば、夜になると、親御さんが布団を敷き始めたり、寝巻きに着替えたりするのを見て、「あぁ、もう寝る時間か」と思う、というようなことが難しいのです。


- 不安。自閉症のお子さんが他の子と比べると、不安を強く感じやすいことが報告されていますが、これが眠りを妨げているかもしれない、という推論もあります。


- 閉塞性睡眠時無呼吸症候群や、Periodic limb movement disorder (定期的に手足が勝手に動いてしまう症状)などを持っている場合もあります。


眠りを助けるには


自閉症のお子さんの眠りを助ける方法は、いくつか研究で報告されています。


まず行動療法の側面から:

Malow準教授は薬療法の前に行動療法をすることを勧めています。その理由として、薬の副作用がでる場合があること、副作用が出ても本人が伝えられず、発見まで遅れる可能性があること、それから行動療法に成功した場合、家族に自信が付くことを挙げています。


行動療法のいくつかの例がこちら。


- 毎日同じ時間にベッドに寝かせる。(体内リズムを助ける)


- ベッドタイムルーチン(就寝前の日課・いつも決まった順番ですること)を作る。こうすることで、その日課が始まると、ああこれから寝るんだ、と理解するのを助ける、ということです。これは20~30分の日課でいいようです。例えば、本を読む、優しく背中をマッサージする、子どもの落ち着くソフトな音楽をかける、など。


もし、子どもが視覚優位な場合、視覚的にベッドタイムの日課を提示するのも効果があるかもしれません。

例)

A1

ただ、自閉症の人が誰でも視覚優位というわけではないので、言葉で伝えた方が伝わる場合や、実際に行動して経験から学んでいく場合もありますので、そのお子さんに一番合った方法で伝えてください。


- 就寝時間の1時間前から興奮を与える刺激を避ける。TVやパソコン、ゲームを消す。カフェインの入った飲み物や、甘いものを控えるなど。


- 日中に十分身体を動かす。昼寝を長く取らないようにする。


- 寝室の環境を再度チェックしてみる。例えば、ドアは開けっぱなしにしてた方が逆に良い?とか、小さな弱い光があった方が良い?など。場合によっては、遮光カーテンが良かったり、ドアの金具に油を差してドアの開閉時になるギギーという音をなくす、など小さな変化がキーポイントになる場合もあります。


- ロッキングチェアメゾットを使う。これは、まず子どもに自分一人で横になってもらう。親は部屋を出ずに一緒にいますが、子どもに背を向けてロッキングチェアに座っているだけ。毎晩、ロッキングチェアをドアに近づけていき、最後にはドアの外に出す、というものです。


少し大きくなって、物事の因果関係が分かるようになってくると、夜ベッドに入って眠った次の朝に、モーニングステッカー (ご褒美のシールをあげる→それをシールノートに貼り、いくつ集めると、○○がもらえる)など、動機付けをするのもひとつのやり方として挙げられています。


他に、National Autism Resourcesがサイト内で販売もしているグッズ関係を使うのも一つの方法として挙げられています。


例えば、 

- 重いブランケットを使う。

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Autism Resourcesのサイトでは結構な高額で売られていますが(日本から購入可能かどうか不明)、友人は乾燥豆を入れて手作りしていました。


この写真のように、ブランケットを重ねて重みを持たせるのも手かもしれません。

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- 眠り亀など、光や音の出るグッズを使う。

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これは、亀の甲羅にしかけがあり、天井に水の底から見える光を再現するもので、光の強さも調節可能です。海の波の音もつけることができます(光だけの再生も可能)。これも、Autism Resourcesからですが、アメリカのアマゾンサイトでも販売していました。


最後の手段としてMalow準教授は、薬療法を勧めています。行動療法や他の方法で上手く行かなかった場合に、メラトニンセラピー(薬療法)や、不安が強い場合には鎮静剤療法など、医師と相談の上で使用した場合の効果が報告されています。

**メラトニン療法に関して、AutismSpeaksから発行されたガイドブックを基に、2016年6月に記事を書きましたので、そちらも参考にしてみてください。

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2012年5月15日 (火)

自閉症を疑似体験できるカーリーズカフェ

“Carly’s Cafe” Provides a Glimpse At What It’s Like To Live With Autism

というニュースが、Council for Exceptional Children(障害児学会)から届きました。

日本語に訳すと「カーリーズカフェが自閉症と共に生きることがどんな感じかを垣間見せてくれる」と言う感じでしょうか。

記事に興味のある方は、こちらがオリジナルへのリンクです。

http://www.fastcocreate.com/1680756/carlys-cafe-provides-a-glimpse-at-what-its-like-to-live-with-autism


大まかに記事を紹介しますと、
17歳のカーリーは言葉を発しない自閉症を持っています。

カーリーは2歳の頃、将来言葉を発することはなく、知能も6歳レベルまでしか発達しないだろう、と診断を受けました。

ところが10歳の頃タイプすることで意思疎通する術を学ぶと
優秀な生徒として認識されることになります。


そのカーリーが父親と共著で本を出版したのですが
(本の名前はCarly's voice: Breaking through Autism: ←ここをクリックすると本のホームページへ行きます。そこで買うことも可能ですが、まだ英語のみのようです。)

その本の最後の章はカーリーが一人で書いており、
カーリーから見た世界がどのようなものであるかを詳しく説明してあります。


その説明を元に、今回カーリーズカフェと言うウェブサイトが作られました。

こちらがそのウェブサイトです。
Carly’s Cafe

ウェブサイトへ入ると、コーヒーカップcafeが表示されるので、それが100%までアップロードされるのを待ってください。

アップロードされると、“Enter”のボタンを押してください。

カーリーが父親と妹とカフェにいるところなのですが、
マウスをあちこちへ動かすと、風景や音も変わり、
カーリーがどのように感じているかを体験することができます。

カーリーの心の声も聴く事ができます。
まずお父さんが「オレンジジュースとホットチョコレートどっちが欲しいか尋ねます。」


Carlyfather

カーリーは「私はコーヒーが欲しいんだけど。」と心の中で呟いています。


それから妹が友だちのところへ行くんだけど、と父親に話すと
父親がカーリーも一緒に連れて行くよう、言います。
カーリーは「ちょっと待って、私には私のプランがあるのに…」と呟きます。

そして、ホットチョコレートを父親が持ってきて、
押し寄せる沢山の視覚刺激と音、匂い、色々なことに圧倒されて、カーリーは…
という内容ですが、

カーリーによると、これでもまだ十分にカーリーの感じている世界を再現しきれてはいない、と言う事でした。

ニュースの一文をこちらに

“She takes in far more information than the average person; she can hear, see, feel, smell things that the rest of us don’t, but then that clouds her ability to comprehend.”

訳すと
「カーリーは普通の人が受け取るよりもずっと多くの情報を受け取っている。彼女は私達の聞こえない、見えない、感じない、匂えないものを感じ、それらが彼女の(情報を)理解する能力を曇らせているのです。」

最近は、難聴や、統合失調症などを疑似体験できるこうしたサイトをよく見かけますが、こうしたサイトを通して、より多くの人の理解を得られ、誤解や偏見の減る助けになると良いですね。


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